ayako987のブログ

観劇した舞台の内容などネタバレ含んでいます

2019/06/11 百合と薔薇

2019/06/11

百合と薔薇11日19時開演

 

先行も先着も全部外れて挑んだ当日券でやっと見れた、待望の崎山つばささんの朗読劇でした。以下のカッコ書きは私が捉えた台詞であり本当の台詞とは違いますので意訳としてください。

 
<登場人物>

ヒカル:つばさくん。20代後半の研修医

アキラ:前山さん。ヒカルの同僚研修医

ユウキ:中尾さん。恋多き人気タレント。ニックネームはユウキャン

なたぎさんは、ヒカル、アキラの病院の看護師、(居酒屋シーンでは)店員、そのほか

 


<ストーリー>

ヒカルとアキラは同じ病院に勤める研修医同士。アキラはヒカルのことがちょっと気になっているけれど、そんな思いは秘めたまま接している。二人が病院の談話室で寛いでいるとテレビが芸能ニュースを報じ出した。タレントのユウキャンの恋愛発覚のニュースにアキラは興味津々(※1)


その日の夜、ヒカルが「大事な話がある」とアキラを食事に誘う(※2)

想いが通じているのかも?と期待したアキラ(※3)がついていくと「満月の日に病院にオバケが出るので一緒に肝試しして欲しい」というがっくりくる話だった。加えて、病院の屋上にくるUFOも見て欲しいという。ヒカルはただのオカルト好きだった。


楽しい食事会が終わり、少々飲みすぎたアキラを介抱するヒカル。路上でユウキャンに出会う。お調子者のアキラがサインをねだり、応えてあげるうちにアキラは橋の欄干によじ登って寝てしまう。ふとユウキャンに「僕を助けると思って」と突然キスを迫られるヒカル。戸惑いつつも唇を重ねる(※4)ヒカルにハンドルを切り損ねた車が突っ込んでくる、急ブレーキの音。

 


勤め先の病院の病室で目覚めるヒカル。車にひかれそのまま昏睡し2日たったという。同じ病院に足を骨折したユウキャンも入院中と聞き、アキラと見舞う(※5)

 


恋多き華やかな芸能人的恋愛をからかうアキラに「俺のこと、何もわかってないくせに!」と怒り出すユウキャン。ユウキャンは実は同性愛者で、パートナーは男性だったため、恋人と報じられていた方々は皆お友達に過ぎなかった。

 

あの時路上でキスを迫ったのも、近くにいたケンカ中の恋人(※6)に見せつけるためだったと謝るユウキャンは、「君は俺と同じ感じがするよ」とアキラのことも見抜いているのだった。

 


ケンカ中の恋人に別れを告げられるユウキャンと、想いを伝えたい、でも踏み出せないでいるアキラ。(※7)

二人でヒカルを喜ばせるためにUFOを飛ばすことを計画する。

実はUFOを初めて見た日は、ヒカルのお父さんの亡くなった日だったのだ。初めての手術に挑むヒカルを元気付けるためにUFOになってやってきたのかもしれない。

 


UFO決行日、アキラとヒカルが屋上で見ていると本物のUFO(※8)が飛んでくる。その直前に姿を消すアキラ。アキラは車の衝突事故の時に橋の欄干から渋谷川に落ち、川の淵に頭を打ってそのまま意識が戻らないのだ。だが愛するヒカルと失恋したユウキャンを勇気付けるために霊的なものとなって二人に接していた。今のままのアキラが好き、愛していると告げるヒカル、天に召されるアキラ。

 


その後、ヒカルとユウキャンは友達同士で同居し、アキラの遺影とともにのんびり暮らしていくのだった(※9)

 


ってなストーリーでした。

 


怒涛の※

1:芸能レポーターはなたぎさん

2:居酒屋の店員さんもなたぎさん。メニューが「タコのピザ、ピラニアのしぼり汁を添えて」「膝なし豚の食べ物風丸焼き」みたいなネタメニューだった

3:このシーンの!ヒカルが!すごく!いい声で!アキラに迫るんだけど!

…全部アキラの妄想…でも顔が近くてめちゃ焦った(焦る意味とは)

4:このキスシーンは台本で隠れていて全く見えませんでしたので脳内で補いました、頑張ったな、私の脳

5:この時に肝試しになった…ような…

6:恋人役も勿論なたぎさん

ここの台詞「君と誰かのキスを見て、何とも思わなかった」が胸をえぐられた。そりゃ非道いよつばさくん!(つばさくん=ユウキャンの恋人の名前=なたぎさん)

7:ここで「アキラの想いを肯定も否定もしない」の台詞が出る、出たはず。崎山ファン待望の癒しボイスタイムとなったので美しい体験をした記憶しか残ってない。だから映像化しろって言ってんだよ

8:マルちゃんの赤いきつね緑のたぬきに彩られたUFO。武田鉄矢ネタも満載だったため、LOOSERで金八先生を見ている崎山ファンは1週間武田鉄矢(のモノマネ)にさらされることに。

9:遺影からアキラが飛び出してきた。エンディングは「もう終わっちゃうの?」という寂寥でいっぱいだったため正直覚えてない

 

 

<みどころとかかんそうとか>

男性の身で男性が好きだというアキラを否定も肯定もしない。ただアキラが好きだというヒカル。アキラの人間性を好きでいてくれる。

「お金があるから」「美人だから」「優しいから」「頭がいいから」「大事にしてくれるから」……『だから』あなたが好きと言える人には刺さらないお話かもしれない。

 


「どんなタイプが好き?」という質問に答えられない人に捧げる物語。

「君だから好き」と告げるヒカル。アキラはしつこいことを言ったり、ちょっとおせっかい焼いたり、嫉妬もするけれど、でも「アキラだから好き」なんだね。

 


そこがこの話の真骨頂なのでつばさくんのあの癒しボイスがフルに活かされていたので満足です。キスシーンは本当に本当にドキドキでした、見ていいのやらいけないのやら

そしてギャグが単純でただゲラゲラ笑っていられるのもいい

また舞台が暗く、台本に置いたライトが横顔をくっきりとさせてくれて、つばさくんの輪郭好きな私は天国でした。またやろう、またやろう朗読劇!

 


前山さんのサラサラのヘアスタイルが、繊細な心の動きを表していて効果的。「告白したら?」と促されて迷い、首を傾げてサラっと流れる前髪。戸惑いが伝わっていい。それに表情もいい。前を見つめて口をキュッと結んでいるだけなのに、真面目そうにもイタズラそうにも見える。こんなに凄い役者さんなのか。もっとたくさん舞台が観たい。

 


食事のシーンでふと気づくと近くにいる!って時の顔がすごく近くてアキラのドキドキが伝わってきたよ(席は下手側でした)

肩に手を置くシーン。セットもなく、舞台の段差を活かしているだけのシンプルさにより、演者さんのそのものをじっと見つめていられるので、本当に手の暖かさが伝わるよう。

 


中尾さんは噛むところも多かったけど、焦る役だし、情熱を伝えないといけない役なのだから全然構わない。

ユ「俺のこと何にも知らないくせに」

ア「知ってるよ、テレビとかしょっちゅう出てるじゃん」

ユ「そんなので知った風にいうな」

もとてもいい。ある一面を知っただけで全て分かった風に思えてしまうけど、本当のことなどなかなか言えない、「人」に話すから本当のことが言えない面もある。こういったテーマの舞台なのでこの台詞はとても効いた。


精悍な顔で浅黒い肌に胸がちょっと開いた黒いシャツがとっても粋で、医者の一般人と芸能人の対比ができていた。衣装もとても良かった。

 


<まとめ>

演者さんのファンなら絶対見たかっただろうな、と、心の底から思う舞台でしたから、チケットのとりにくさが腹立たしい。

こんな「正しい」舞台をなぜ1公演しかしないのか。平日マチソワでも良いくらい。だって当日券を求めるお客さん、150〜200人ですよ?当日券のお客だけでも1公演できるよ。

映像化、せめて音声をラジオドラマ風にして販売するとか、それもダメなら台本売ってくれ。

 


…という運営への恨みつらみはあります。が、舞台は本当に素晴らしかった。またみせてください。